大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

仙台高等裁判所 昭和30年(う)625号 判決

原判決が被告人に対し懲役三年未決勾留日数中六十日を右本刑に算入する旨の言渡をしたことは所論のとおりであり、記録によれば所論指摘のとおり、被告人は昭和三十年五月二十五日本件の一部たる窃盗等の被疑事実により勾留され、同年七月九日保釈により釈放されたことが明らかであるので本刑に算入し得べき未決勾留日数は四十六日となる。されば、原審が算入した未決勾留日数六十日中十四日は存在しない未決勾留日数であるといわねばならないから、原判決には未決勾留日数算入の基礎たる事実を誤認し、ひいて法令適用を誤つた違法があり、右違法は判決に影響を及ぼすこと明らかである。もつとも、存在しない未決勾留日数十四日を算入した原判決は、この限度においては、無用の空文で当然無効とみなければならず、従つてこれが、執行指揮に当り不問に附すべく、実質的には何等の違法がないともいゝ得ることは弁護人主張のとおりであるけれども、形式的にもせよ、判決主文に瑕疵が存する以上これを取り消すのが相当である。

以上説明のとおり原判決には判決に影響を及ぼす事実誤認と法令の適用の誤が存するので原判決は破棄を免れない。

(裁判長裁判官 籠倉正治 裁判官 岡本二郎 裁判官 有路不二男)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!